うつし世は夢、夜の夢こそまこと

Stefano Battaglia / Re:Pasolini / ECM

d0157552_31156.jpgStefano Battaglia / Re:Pasolini / ECM

Disc1
Stefano Battaglia (p)   Michael Gassmann (tp)
Mirc Mariottini (cl)      Aya Shimura (cello)
Salvatore Maiore (b)    Roberto Dani (ds)




Disc2
Stefano Battaglia (p) Dominique Pifarey (vln)
Vincent Courtois (cello) Mruno Chevillon (b)
Michele Rabbia (per)

リリース:2007年05月03日



Re:Pasolini 、純度が高くて、対象物が透けて視えそうな世界、1枚目。

ステファノ・バタッーリアの2007年リリースの旧譜。ECM2枚目となる2枚組。
アルバムはイタリアの詩人、映画監督のピエル・パオロ・パゾリーニをテーマとした構成で、ディスク1とディスク2はアプローチがちがいます。パゾリーニはピュアな変態倒錯者っぽいけど、60年代の熱い時代、イタリアの若者にメッセージを送った一人。フェリーニの脚本も執筆。

とは言っても、良く知らないのでパゾリーニ研究サイトを読みました。面白い!
高度なエログロさを発揮した人でかなり破天荒な人生を送り、嘘みたいな死を迎えた人でした。
the one and onlyPIER PAOLO PASOLINI !!
おもしろくパゾリーニがわかるサイト。



1枚目は旋律主体でハーモニーや調和する響きなど"棘"のない風光明媚な演奏。ピアノ一音、一音の純度はすこぶる高く、安定感もあり、淀みがない音。世界観はジャズっていう範疇からほど遠いw しかし、根底にはパゾリーニが横たわっているので底は見えないほど深いのかもしれません。。。
「Canzone di Laura Betti」は、パゾリーニの映画に出演した女優さんの名前で、ジャケ写のエキゾチックな美人だと思います。マイケル・ガスマンのトランペットと母性を感じる?志村綾さんのチェロは、サーカスからの帰り道を親子で無言で帰るような雰囲気の印象的なトラック。続く2曲目「Totò e Ninetto」も俳優の名前で、まさに下のような”帰り道”的なカットを感じる演奏。何処まで歩くのか?行き先はある?ずっと同じ旋律を繰り返す演奏。グレーでまろやかな短調な展開なんですが、演奏中たった1箇所だけ調性が明るく変わる小節があります。
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パゾリーニの高度に洗練?された破滅的なグロさは影を潜めたコンポジション。
いやに美音過ぎる。

ディスク1は、夕焼け哀切系美音がずっと続きます。時折、奥にレイアウトしたシンバル、パーカッションが鋭利に鳴るので油断できませんw5曲目「 Fevrar」などバタッーリアが演奏をぐっと展開する際に出てくるボイシングからキース・ジャレットの影響がちょっとあるのかなと感じますが、タッチの湿度感や迸る叙情性はありません。チェロで志村綾さんが参加されています。

1枚目、北イタリアの田舎(Padania)や古い石造りの街を徘徊するようなイメージ。演奏では映画にちなんだタイトルが並びますが、パゾリーニの少年・青年時代も感じるような1枚?パゾリーニ研究サイトでイメージした人物像とは距離があるようです。



Disk2は即興的なアプローチ主体でダーク&ビターな演奏。1枚を通しで聴くことに苦痛を憶えた一聴目。
ほとんどリズムが乏しい即興なので、なかなか前へ行ってくれない。鬱っぽいイタリア人が演る停滞感あるフリージャズが最高だぜ!ってなるほどシンクロできない。。
それもで音々達が空間に満ちていく快感はあります。もっと聴けば、わかんのかも知れません。


「Re:Pasolini 」のエンジニアはステファノ・アメリオ。
現在、世界屈指のエンジニアの一人。特に演奏者の関係性や一音が表現する表現の幅・深度、音楽の場を創りだす天才?この盤ではミックスのディレクションがバタッーリア自身とマンフレート・アイヒャー。深い奥行き感や純度は非現実的な作品の世界観伝えやすくするものかと思います。。(この盤はムツカシイ)。音楽以外のアートや仕事でも必ずコンセプトがあると思いますが、ステファノ・バタッーリアの一連のアルバム「Re:Pasolini」や「 The River Of Anyder 」を聴いていると共通点があり、イタリアを初め過去の音楽家や思想家が残した表現やリリックを横軸で並べ、それらを素材に彼独自の表現で新たな命を吹き込み、一つのオリジナルなストーリーとして提示しているような感じです。その物語世界は広く、静かながらキリッと甘く、何やら深い底まで見せる世界観で、ピュアな理想像ってこういうのもあるよ、って聴かせてくれてる雰囲気。

好みは別として、音質は溺れそうなぐらい美音でちょっと残響過多。若干方向性はちがいますが、同じECMのマルチン・ワシレフスキの160%ぐらい美音。バタッーリアを聴いた後にワシレフスキ盤を聴くと、荒いかなと感じてしまう。



普段、激烈な日常を送っている人や、会議の連ちゃんなど、
人の間で揉まてる人におすすめな1枚w
熱帯夜にも効果あり?です



Disc1(全曲:ステファノ・バタッーリア)
1. Canzone di Laura Betti
2. Totò e Ninetto
3. Canto popolare
4. Cosa sono le nuvole
5. Fevrar
6. Il sogno di una cosa
7. Teorema
8. Callas
9. Pietra lata



Disc 2
1. Lyra I
2. Lyra II
3. Meditazione orale
4. Lyra III
5. Lyra IV
6. Scritti corsari
7. Lyra V
8. Epigrammi
9. Lyra VI
10. Setaccio
11. Lyra VII
12. Mimesis, divina mimesis*
13. Lyra VIII
14. Ostia
15. Pasolini
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by kuramae2010 | 2012-07-30 00:01 | jazz | Comments(0)