スガダイロー / 春風・Harukaze / velvetsun

スガダイロー (p)
リリース:2012.4.18
この国の政府のフリーキーなクレージーぶりと比べれば、激情感溢れるスガダイローのソロも楚々として美しいと感じる。(比べることもないんだけどw)
数少ないミュージシャンの友人達は、震災後何かしら生活や考え方に、微妙だけれど大きな変化が起きたと言います。スガダイローのソロピアノ組曲は2011年の2月下旬に録音されたもので、創造・破壊・再生など人の根源的な善・悪を超えたエネルギーを音にした、そんな風に聴きました。集合住宅のコンクリートをかち割って生えている緑の写真と相まって生命力の息吹を感じる即興ピアノ組曲。

本盤にはウクライナ(おそらくプリピャチ)撮影をライフワークにしている中筋純氏の写真がブックレットされています。窓が開け放たれた部屋に横転するグランドピアノ。緑豊かな普通の街が廃墟となっている写真など微妙な紗がかかり非現実的な穏やかな美しささえ感じる様。
かつては、緑溢れる庭にピアノの調べや笑い声が春風に舞っていたんだろう。
演奏曲
1. 巨骸
2. 春風
3. 不屈
4. 廃界
5. 記録
6. 望郷
7. 臨界
8. 再生
9. 終末
スガダイロー「春風・harukaze」サイト 試聴ができます。
http://sugadairo.com/vsp-0002/index.html
画像:Associated Press

写っているのは東京電力所有の朽ちた建物と使用済み核燃料プール。毎月これのために徴収されているジレンマ。。ここには今も地球半分ぐらいにダメージを与えかねない千本以上の使用済み燃料棒が剥き出しのまま、チャプンと入っています。写真中央辺りが4号機の使用済み核燃料プール。使用前のものもドサッとあります。日本や世界の未来を左右するかもしれない生々しい混沌を孕んだ建物の今。
本年度予算、原発関連の予算は震災前とほぼ同じ。基本、あんまり変わってない。ネットで見た予算審議はシラけたものでした。誰も読まない「原発って安全だにょ」パンフに数十億円とか。これまでの累計では、昨日決まったミャンマーへの3千億円借金をチャラにした分ぐらいはあるんじゃないかな。紙以外では同じく昨日、IMFへ拠出を決めた5兆円は越えているでしょう。
核廃棄物。そもそも捨てるゴミ箱もないのに使い続けたいって、、日本の子供達「ゴミ、よろしくねー」という、爺さま達の遺言。「今が良ければそれでいいんじゃん」、『ミライ?』そんな先のことは知らねーし。みたいな感じで、かなり感じワルい。千年に一度という震災の翌年、税金を上げることに、自らの政治生命の全てを賭ける、抜群のユーモアセンス。それは、未来の日本のためなのです。素敵な国のニッポン。
・・・大飯原発稼動?地震大国だけが放てるブラックジョーク。あの時の「計画停電」もスケープゴート。
4月初旬アメリカ上院議員ロン・ワイデンが4号機を視察し、ヤバすぎな状況を報告。他国でも4号機の状態把握や日本にコントロールできるかどうか見るだけでは済まされなくなりそうな気配。
昨年の3月11日以降、
いい加減な風
現実直視を惑わす風
旧マスコミの風
誤魔化しを肯定する風
未来を犠牲にする風
未来を守る風
日本ではたくさんの風が吹いています。
風向きは一人ひとりの意識で変わっていくものだと思いますが、
今、ハルカゼは吹いているだろうか?

写真:中筋純 チェルノブイリ
by kuramae2010
| 2012-04-23 00:12
| jazz
|
Comments(3)

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。

ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
録音は、2011年2月22日だそうです。本来なら2011年4月の新宿ニコンサロンで展示された中筋純氏の写真展「黙示録チェルノブイリ 再生の春」とあわせたリリースだったんだと思います。
中筋氏が撮った建物を超えていく樹木の高さと室内の喪失感は象徴的な写真です。。
ライブで聴くとあまりの激しさに脳がシビレまくると思いますw
中筋氏が撮った建物を超えていく樹木の高さと室内の喪失感は象徴的な写真です。。
ライブで聴くとあまりの激しさに脳がシビレまくると思いますw
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